人と比べてしまうのはなぜ?比較との付き合い方と、自分のパターンを知る方法

スマホを開く。誰かが昇進したという投稿。誰かの旅行写真。誰かの幸せそうな日常。

スマホを閉じたとき、なんとなく気分が沈んでいる。5分前までは何ともなかったのに。

夜になっても、そのモヤモヤがどこから来たのかわからない——。

こうした経験に覚えがあるなら、それはあなただけではありません。 人と比べてしまうのは、人間にとって自然な傾向だと言われています。弱さでも、性格の問題でもありません。

ただ、比較が繰り返されると、知らないうちに気分に影響することがあります。

この記事では、なぜ人と比べてしまうのか、比較が負担になるのはどんなときか、そして自分のパターンを知る方法を紹介します。


この記事について

この記事は、「人と比べて落ち込むことがある」「SNSを見ると気分が沈むことがある」という日常的な体験について書いています。

人によって体験は異なります。ここで紹介する内容がすべての人に当てはまるわけではありません。

以下のような場合は、この記事の対象外です。専門の相談窓口への相談をおすすめします:

  • 比較による落ち込みが強く、日常生活(仕事、学校、家事など)に支障が出ている
  • 「自分には価値がない」という気持ちが続いている
  • 人と会うこと、外出することを避けるようになっている
  • 比較以外にも、気分の落ち込みや不安が2週間以上続いている

記事末尾の相談窓口もご覧ください。


なぜ人と比べてしまうのか

「人と比べてしまう自分が嫌だ」と感じる前に、なぜ比較が起きるのかを理解しておくと、自分を責めにくくなります。

比較は人間の基本的な傾向

1954年、心理学者レオン・フェスティンガーが「社会的比較理論」を提唱しました。その主張は、人間には自分自身を評価したいという基本的な欲求があるというものです。

そして、客観的な基準がないとき、人は他者を参照点として使います。

「自分の仕事ぶりはどうか」「自分の人生は順調か」——こうした問いに絶対的な答えはありません。だから、周囲の人と比べることで、自分の位置を確認しようとする。

これはあなたが発明したことではありませんし、性格の欠点でもありません。 人間が社会的な情報を処理する仕組みの一部だと考えられています。

比較の方向は2種類ある

比較には、大きく分けて2つの方向があるとされています。

上方比較:自分より「上」に見える人との比較。成功している人、持っているものが多い人、先に進んでいる人。

これは「自分も頑張ろう」というモチベーションになることもあれば、「自分はダメだ」という気持ちにつながることもあります。

下方比較:自分より「下」に見える人との比較。苦労している人、持っているものが少ない人。

これは「自分はまだマシだ」という安心につながることもあれば、自分の状況を直視することを避ける手段になることもあります。

どちらが良い・悪いというものではありません。 頻度、状況、解釈の仕方によって、影響は変わります。

何を比較するかは人によって違う

よく比較の対象になると言われるのは:

  • キャリア・仕事の成果
  • 外見・容姿
  • 人間関係・友人の数
  • 生活水準・持ち物
  • 人生のマイルストーン(結婚、出産、持ち家など)
  • 能力・才能

ある領域では頻繁に比較するけれど、別の領域ではあまり気にならない。そういう人は多いです。

何を比較しやすいかは、過去に何を重視するよう学んだか、何を心配してきたかと関係していることがあります。


比較が負担になるとき

比較すること自体は、良いとも悪いとも言えません。問題になるのは、頻度、きっかけ、その後の反応です。

ハイライトと日常の非対称

現代の比較には、構造的な問題があります。

自分の全体像と、他人のハイライトを比べているということです。

SNSで見えるのは、その人の人生の「見せたい部分」です。旅行の写真は見えても、出発前の喧嘩は見えない。昇進の報告は見えても、その前の苦悩は見えない。

自分については、良いことも悪いことも全部知っている。でも、相手については良いことしか見えていない。

この情報の非対称性に気づかないまま比較すると、自分の日常が必要以上に物足りなく見えてしまうことがあります。

繰り返しの影響

たまに比較して「自分は遅れている」と感じることは、それほど問題にならないかもしれません。

でも、同じ比較が繰り返し起きると——同じきっかけで、同じテーマについて——気分のベースラインに影響することがあります。

多くの場合、これは意識されません。比較しようと決めてやっているわけではない。気づいたら比較していて、気づいたら気分が沈んでいる。

「朝は普通だったのに、今はなんだか落ち込んでいる」——そう感じるとき、振り返れば比較のきっかけがあったのかもしれません。

気づきにくいパターン

人と比較してしまうことには、多くの場合パターンがあります。でも、そのパターンに気づいている人は少ないと言われています。

なぜ気づきにくいのか:

速すぎる:投稿を見て、気分が変わって、スクロールを続ける。全体で数秒しかかからない。

日常に溶け込んでいる:比較は頻繁に起きるので、個々の出来事が目立たない。呼吸を意識するのが難しいのと似ています。

記憶に残りにくい:強い感情を伴う比較は覚えているかもしれません。でも、「少しだけ気分が下がった」程度の比較は、すぐに忘れてしまう。

影響が遅れて出る:比較した1時間後に気分が沈んで、原因がわからないということもあります。


自分のパターンを知ることの意味

「人と比べてしまう」という漠然とした自覚から、「自分はこういうときに比較しやすい」という具体的な理解に変わると、何が変わるのでしょうか。

対策が具体的になる

「比較をやめよう」という抽象的な目標は、達成しにくいと感じる人が多いようです。

でも、「この3つのアカウントを見ると比較してしまう」とわかれば、ミュートするという具体的な対策が取れます。

「疲れているときに比較しやすい」とわかれば、疲れた夜にはSNSを開かないというルールが作れます。

パターンがわかると、「比較をやめる」ではなく「このトリガーを避ける」という具体的な行動に落とし込めます。

自分を責めにくくなる

「また比較してしまった」「自分は人と比べてばかりいる」——こうした自己批判は、パターンが見えていないときに起きやすいと言われています。

記録を続けて「比較したのは今週3回、すべてこのアプリを開いたとき」とわかれば、「自分がダメ」ではなく「この状況がトリガー」という理解に変わります。

問題が「自分の性格」から「特定の状況」に移ると、対処しやすくなります。


役立つかもしれないアプローチ

以下は、比較との付き合い方として役立つと感じる人がいるアプローチです。

すべての人に効くわけではありません。自分に合うかどうかは、試してみないとわかりません。

1. 具体的なトリガーを特定する

「比較しない」という漠然とした目標より、「どんなときに比較が起きるか」を特定する方が実用的です。

考えてみるポイント:

  • どのアプリ、どのプラットフォームで起きやすいか
  • どの人のアカウントがきっかけになりやすいか
  • どんなテーマ(キャリア、外見、人間関係など)が多いか
  • 何時ごろに起きやすいか
  • そのとき、どんな気分だったか

すべてを覚えている必要はありません。1つか2つでも具体的なパターンがわかれば、それだけでも意味があります。

2. 情報の非対称性を思い出す

比較していることに気づいたとき、**「自分は相手の一部しか見ていない」**と思い出すことが役立つ人もいます。

相手の成功を否定するわけではありません。相手の苦労も存在するはずだ、ただ見えていないだけだ——そう認識することです。

3. 環境を調整する

特定の状況で繰り返し比較が起きるなら、その状況への接触を減らすことも選択肢です。

  • 特定のアカウントをミュート・フォロー解除する
  • アプリをホーム画面から外す
  • 特定のプラットフォームを使う時間を決める
  • 比較が起きやすい実際の場面を振り返り、調整を考える

現実から逃げるということではありません。自分の情報環境は、思っている以上に自分でコントロールできるという認識です。

4. 比較の対象を変える

他人との比較ではなく、過去の自分との比較に切り替えることが役立つ人もいます。

  • 1年前の自分より、何ができるようになったか
  • 自分にとって大事なことで、どんな進歩があったか
  • 過去の自分が持っていなかった経験や知識は何か

評価したいという欲求自体はそのままに、参照点を変えるというアプローチです。

5. 比較の裏にあるニーズを考える

「なぜ自分は比較しているのか」を問うことが役立つ人もいます。

比較には、多くの場合何らかの目的があるとされています:

  • モチベーションや刺激を求めている
  • 成功とは何かを確認したい
  • 自分の選択に安心したい
  • 取り残されていないか確認したい

その裏にあるニーズがわかれば、比較以外の方法でそのニーズを満たせるかもしれません。


気分記録で自分のパターンを見つける

自分の比較パターンを知る方法の一つとして、記録があります。

なぜ記録が役立つのか

記録することで、頭の中にあった曖昧な感覚が「外」に出ます。

思い込みではなく、実際に何が起きているかが見えます。 比較が思ったより少ないかもしれないし、多いかもしれない。特定のトリガーが予想以上に影響しているとわかるかもしれない。

また、「今日、比較したかな」と意識するだけで、比較が起きたときに少し気づきやすくなることがあります。

シンプルなやり方

複雑な方法は必要ありません。

毎日(10秒):その日の気分を5段階から選ぶ。

レベル 意味
😄 とても良い
🙂 良い
😐 普通
😞 悪い
😢 とても悪い

比較に気づいたとき(任意):何がきっかけだったか、短くメモする。

記録の例:

12/23:🙂 良い | 比較なし
12/24:😐 普通 | Instagram、知人の旅行写真
12/25:😞 悪い | LinkedIn、同期の昇進報告
12/26:🙂 良い | 比較なし

2〜3週間続けたら、振り返ってみてください:

  • どのトリガーが多いか
  • 比較した日と気分に関係がありそうか
  • どんなテーマが繰り返し出てくるか
  • 曜日や時間帯に傾向があるか

記録に使えるツール

紙・メモアプリ:シンプルで始めやすい。

表計算ソフト:後から分析したい人向け。

気分記録アプリ:カレンダー形式で振り返りやすい。Nikkletは、5つの絵文字から気分を選ぶだけで記録でき、メモも任意で追加できます。

ツールは何でも構いません。大事なのは、続けることです。


まとめ

人と比べてしまうのは、人間として自然な傾向だと言われています。弱さでも、性格の問題でもありません。

ただ、比較が繰り返されると、気づかないうちに気分に影響することがあります。

大事なのは、「比較をやめる」ことより、「自分のパターンを知る」こと。

  • いつ比較が起きやすいか
  • 何がきっかけになりやすいか
  • どんなテーマが多いか
  • 比較した日と気分に関係がありそうか

こうしたパターンが見えると、対策も具体的になります。

今夜、気分を記録してみてください。もし今日、誰かと比較したなら、何がきっかけだったかメモしてみてください。

2〜3週間後には、自分だけのパターンが見えてくるかもしれません。

Nikkletで始める — または紙でも、自分に合った方法で。


よくある質問

人と比べてしまうのは普通のことですか?

はい。社会的比較は、心理学で広く研究されている人間の傾向です。1950年代のフェスティンガーの研究以来、多くの研究が行われています。文化や年齢を問わず見られる傾向であり、異常なことではありません。

比較をやめることはできますか?

完全にやめることは、現実的ではないかもしれません。比較は自動的に起きることが多いからです。より実用的なのは、「いつ・何と比較しているか」を知り、特定のトリガーを避けたり、比較が起きたときの解釈を変えたりすることです。

SNSをやめるべきですか?

一概には言えません。問題は「SNS全体」ではなく、「特定のアカウント」「特定の使い方」であることが多いようです。自分のパターンを知ることで、すべてをやめなくても、問題のある部分だけ調整できる場合があります。

比較してしまったときはどうすればいいですか?

「また比較してしまった」と自分を責める必要はありません。比較が起きたことに気づいたら、「何がきっかけだったか」を短くメモしておくと、後からパターンを見つける材料になります。

記録を続けられるか不安です

毎日完璧に記録する必要はありません。週に数回でも、傾向は見えてきます。大事なのは「途切れないこと」ではなく「やめないこと」です。

どのくらい記録すればパターンがわかりますか?

個人差がありますが、2〜3週間ほど続けると傾向が見えてくることが多いです。焦らず、まずは1週間を目標にしてみてください。


比較による落ち込みが強い場合は

この記事で紹介した内容は、日常的な体験についてのものです。

以下のような場合は、この記事の方法ではなく、専門の相談窓口への相談をおすすめします:

  • 比較による落ち込みが強く、日常生活に支障が出ている
  • 「自分には価値がない」という気持ちが続いている
  • 人と会うことや外出を避けるようになっている
  • 気分の落ち込みや不安が2週間以上続いている
  • 「消えてしまいたい」という気持ちがある

相談先の情報は、厚生労働省のサイトにまとまっています。

つらさが続く場合は、一人で抱え込まず、相談してください。


この記事について

この記事は、気分記録アプリ「Nikklet」の開発チームが作成しました。

この記事は「人と比較してしまう」という日常的な体験について書いたものであり、専門的な助言ではありません。 ここで紹介した内容がすべての人に当てはまるわけではありません。

人と比べてしまう傾向の背景や影響は、人によって異なります。この記事の対象は、日常的な範囲での比較体験です。

つらさが強い場合や長く続く場合は、厚生労働省の相談窓口一覧をご利用ください。

運営: nikklet.com